元工業大学生のドイツ修行記

ドイツの大学に留学した元工業大学生の備忘録のようなもの

トビタテ! 留学JAPAN

Grüß Gott!

 

先週末、念願のスイスにある街チューリッヒを訪れました!

というのも元々はチューリッヒにある大学に留学をしたいと考えていたのですが、受け入れてもらう研究室や物価などの点から、結果的に今いるミュンヘンの大学にお世話になっております。

詳しいチューリッヒでのお話はまた次回にしたいと思いますが、承知していたもののとにかく物価が高い! 着いてすぐ小腹を満たすために、駅中でサンドイッチを買うことにしたのですが、1番安いものが5.90フラン(660円くらい)。

まぁ、高いっちゃ高いですけど、1回の食事だと考えればなんとか我慢できると自分に言い聞かせ、Sサイズコーヒーと一緒に注文。ただ、このコーヒーの値段を確認しなかったことで、スイスの物価の洗礼を受けることに......

 

店員さん「10.30フラン(約1150円)です。」

私 (!?!?!???!?)

 

まてまて、なんで1000円超えてんだw レシートをもらって、値段を見ると

Sサイズコーヒー:4.40フラン(約490円)

ミュンヘンならSサイズコーヒー4杯飲める値段でした(^p^)

 

 

そんなこんななチューリッヒ観光だったのですが、このブログを読んでいただいている方の中には、

「ここの管理人はノルウェー行ったり、チューリッヒ行ったり、決して物価が安くないところにちょくちょく旅行してるけど、お金はどうやって調達しているんだ?」

と思ってる方もいるかもしれません(いないかもしれませんが笑)

 

ということで、今回は私がお世話になっている奨学金及び留学支援プログラムの宣伝ご紹介です。

www.tobitate.mext.go.jp

 その名も『トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム』!

(ネーミングセンスについてのご感想は個々人に委ねます)

このプログラムは2014年より開始された、官民協働の海外留学支援制度です。大学生だけでなく高校生の留学も支援してくれます。奨学金自体は国のお金や税金からではなく、ご支援・ご協力いただいている企業・団体様からの寄付によって成り立っております。私の留学があるのも、皆様からのご支援あってこそだということを、改めてこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 

さて、このプログラムの狙いや具体的な目標については、上記のリンクのトップに記載されているのでそちらをご参照ください。 

そこよりも、このプログラムにご支援いただいている中で、当事者として今までのところ良いなと思うことや、その他感じていることなどをお話したいと思います。

 

自分の留学/将来を考える時間

このプログラムの全体を通して、色々な場面で自分の留学、そして自分自身のことを考える機会があるなというのが一番の印象です。

この留学支援プログラムに応募するための大きな縛りとしては座学や語学学習以外の、何らかの活動(プログラム内では実践活動と呼んでいます)を計画に盛り込み、現地でそれを実践し、帰国することが義務付けられています。

ちなみに私の場合は、現地の研究室での研究活動とその成果発表がそれにあたるのですが、他にも現地でのインターンシップ活動,自身の専攻に関する調査やフィールドワーク等で留学に臨んでいる学生もいます。

そういった受動的に授業を受けるだけでない、何かしらの活動や目標を応募の段階から掲げさせることは、必然的に自身の留学や自身の将来を考える時間を要します。実際、応募を出す際の計画書の作成の際には、自分がどういう留学にしたいかを考え、それを書面に起こしてきちんと伝えられているのか第3者に見てもらったりして、それなりに時間をかけたように思います。

 

また、事前及び事後の研修(1泊2日)もあります。そこでは、同じく採用された学生(通称トビタテ生)たちと一緒に、事前研修であれば主にお互いの留学計画をシェア・ブラッシュアップし、事後研修ではお互いの留学での成果報告をすると共に、それをどうその後自分の行動や思考につなげていくかを見直す機会となるようです(事後研修に関してはもちろん私はまだ参加してないので、情報が曖昧です、ごめんなさい)。

「留学するのにそんな仰々しいことしなくても・・・」

と思う方もいるかもしれませんが、私個人としてはとても大事な時間だと考えています。日本人の学生的には、留学というのはある種ちょっと遠回りといいますか、人よりもちょっと寄り道して学生時代を過ごすようなものかな、私は感じています。普段のせわしない日常からちょっと道を外して、真に”自分のために”時間を使う。そんな時間の中で多少なりとも、自分のやりたいこと、自分の持っているもの、足りないもの、自分のこれからを考えないなんてもったいない!(もちろん人それぞれの留学があってしかるべきだとも思いますが)

そういった点では、単にお金だけを支援していただく奨学金プログラムよりも、自身の留学を有意義な方向に持っていくチャンスが多いと思います。

 

新たなコミュニティや発見の場としての存在

このプログラムは一度に500人前後の学生が採用され、採用後の壮行会や事前・事後の研修などで、一同に会する機会も何度かあります。出身も大学も専門分野も違う、けれども留学という1つの大きな共通の目的も持つ、こんなにもたくさんの大学生と交流できることは、普段の大学生活の中でも経験できる機会は本当にわずかなのではないでしょうか?

そして当然、個々人の留学の具体的な目的は異なります。本当にやる気と思考と行動力に満ち満ちた人たちの集まりだなと事前研修で面を食らったのを今でも覚えています。そして今でも、ちょくちょくSNSなどで報告されるそういう人たちの近況を見ると、自分の留学なんてまだまだ思い描いてた姿には近づけていないなと焦ったりもします(苦笑)

この半年の中でも、同じく留学に奔走するトビタテ生何名かと新たに知り合ったり、再開する機会はありましたが、国や地域が違うと自分が体験している留学とは違う留学がそこにはあるということが実感でき、それもまた非常に刺激的でした。

 

留学は必ずしも"特別"なのか/”普通”って何なのか

とまぁこんな感じで、経済的な支援だけでなく、他にもステキポイントがあるステキプログラムだよということで紹介してきました。ちなみに肝心の経済的な支援に関しては、ドイツで一番物価が高いとされているミュンヘンであっても、自炊をしたりして1ヶ月半~2ヶ月くらいそれなりに節約していれば、欧州であればちょっと遠くの街や他の国に旅行することができるお金が溜まるくらいの額はいただけているという感じです(ざっくり)。

個人的に、お金の面でこのプログラムをアピールしたくないなぁと思ったのであえて具体的な金額は伏せますが、そこも含めこのプログラムのことをもっと知りたい方はぜひ詳細を掲載したリンクでご覧ください!過去の留学記録なども最近更新されましたので、そちらも参考になると思います。

 

さて、このようなある種選抜された人間としてご支援をいただいている上で、今の私の留学があるということで、今この記事を書きながら改めてそのありがたみをかみ締めているのですが、果たして本当に私の留学は”特別”なものになっているのか、この1ヶ月くらい悩んでいました。

先ほども述べたように、私なんかよりももっと大きな目標を掲げてアクティブに留学している人もいますし、他の奨学金制度や留学プログラムを利用して留学している人もいます。また一方で、このプログラムに応募したけれども残念ながら採用をいただけなかった学生さんや、そもそも留学したくても様々な事情でできない学生さんがいることも事実ですから、上から目線に物を語るつもりはありませんが、そういった意味では特別だし、本当に支えていただいている方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ただ、そういった事実も含めて、自分の留学が本当に”特別”なものになっているかを考えないといけないな、とふと思った次第です。

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この写真はミュンヘンに着いた次の日に撮影した、Königplatzという大きな広場のパノラマ写真です(もっと臨場感が伝わると良いんですけどね笑)。 ここはナチスがドイツで台頭した際には、多くの式典などが開かれた場所でもあります。この大きい広場が地下鉄の駅を上がると突然ドカンと現れます。みなさんはこの写真を見てどんな印象を受けられるでしょうか?

 

そんな歴史的な広場を私はほぼ毎日通学路として通過しています。着いてしばらくは、ここを通るたびに「うおー、ドイツに来たー」というウキウキ感を感じていましたが、しばらくしてからは正直単なる道と化してしまいました。そのことに最近ふと気づき、なんというか、焦燥感と言いますか、恐怖感のようになものに苛まれたんですね。

「毎日毎日ほぼ変わらないこのだだっ広い広場を通ってきたけど、私は何をこの半年してきて、あと半年何ができるのだろう。」と。

 

先述したように他の国や地域に留学している人たちと話していてもそうです。先週末チューリッヒで留学している学生たちに会った時は、特に物価のことについては羨ましがられ、スーパーでお肉を買うのですらなかなか手が出ないというのを聞いて、衝撃を受けました。私が”普通”だとこの半年間思ってしまっていたことが、同じヨーロッパでもちょっと離れたところにいけば”普通じゃない”。そういうことを改めて思い知らされました。

 

また、この半年感過ごしてみて、わが日本のことを思ってみると、今まで”普通”だと思っていたことが”特別”だと感じる点も多くありました。ただこの話はここですると、また長くなるので別の機会にしたいと思います。

 

この意識は、日本に帰ってもどこか頭の片隅に置いとくと、いいことあるのかなぁなんて思いながら、焦る気持ちを抑えつつ残りの半年間を有意義に過ごしていきたいと思う、春の陽気も感じられる3月下旬なのでありました。

 

ではでは

Tschüss!