元工業大学生のドイツ修行記

ドイツの大学に留学した元工業大学生の備忘録のようなもの

Arbeitsplatz suchen: Nr. 2

留学経験した日本人学生の私が仕事探しした記事の続きです。

 

【前回までのあらすじ】

Q1. 自分の興味、性格、実力を加味して

→日本が抱える医療福祉問題に貢献するために

Q2. どの国の

→日本の

Q3. どういった業種の

→医療福祉機器メーカーの

Q4. どの会社で

→素人でも医療・医工学について学べる会社(候補3社)で

Q5. どの職種を就いて

→製品開発職に就いて

Q6. どのようなことに取り組みたいのか

→自らが考案した今までにないアイデアや製品で人の命を救ったり、心身にハンデを持っている人たちの生活を支援したい

himazin-deutschland.hatenablog.com

 

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3社のうち2社はいわゆる大企業なので、採用応募はネットのフォームから行うものでした。エントリーシートwebテストを受けて応募しました。残りの1社はベンチャー企業だったので新卒・中途採用の区別はなく、働きたい人はいつでも履歴書・職歴を送ってくださいという形だったので履歴書を自作して送りました。

それぞれの結果は、

 

*A社(医療機器メーカー):

書類選考通過→選考途中で不合格

*B社(産業用機械メーカー):

書類選考不合格

*C社(ベンチャー歩行支援機器メーカー):

書類選考不合格

 

でした。

正直「あ、世の中そんなに甘くねぇな…」と気付いた瞬間でした。ちなみに各社ともに書類に留学経験のことは書きましたし、A社の対人選考の中ではもう少し深掘りされて質問もされました。ただ留学の経験がどこまで自分の進路選択を助けてくれるのかという点に対して、(もちろん過信していたわけではないですが)改めて現実を突きつけられました。

この結果には以下のような点が原因だったと考えました。

 

1. 会社が求める能力と自分の能力のギャップ

悔しいですが、ここが1番目を瞑るわけにはいかない点でした。例えば医療機器メーカーのA社はいくら入社後に学ぶ場があると言っても、ある程度の素養がある人とない人だったら、ある人を採用したいに決まってますよね。対人選考は他の学生と合同で2回ほど行ったのですが、やはり医工学や生物化学などを専攻している学生が大半でした。そういった中で自分の方がその会社の力になれるとアピールすることができなかったと感じています。

また選考の中で「君は(技術的な面で)何が一番できるの?」と聞かれた時、即答できなかった自分がいました。今思えばこの質問をされたおかげでこの後改めて自分を見つめ直すことができたと思います。

ベンチャーであるC社に関しても、今の私の経歴で働けるポストは空いてないとお断りのご連絡を頂きました。(それぞれの会社の求人状況などにもよりますが、)ベンチャー企業は新卒一括採用をしている会社と比べて、新人をしっかりと面倒みれるほど規模的にも経営状況的にもまだ成熟できてないところが多いようです。そもそも中途採用でしか社員を募集していないところもざらにあります。大手企業以上に学生のスキルや経験が重視され、その人が即戦力になるのかを見られているのだなと感じました。

 

2. 自分がやりたい事と会社が求める人材像のギャップ

(これは多少原因1とかぶる部分がありますが、)いくら私が「御社に入って〇〇を開発したいです!」と熱意やアイデアを披露しても、それがその会社が事業(ビジネス)としてやっていける範疇の外にあったら全く意味がないわけです。それを回避するためにはやはりその会社が主力事業としてどういった製品を開発・販売したり、どういったサービスを展開しているのかをできるだけ具体的に知り、それに沿ってその会社でできそうな事業をイメージする必要があるということに気づきました。

また一方で自分がやりたい事がその会社が事業として展開できる範疇にあったとしても新入社員を採用するという点では評価されないケースもあることを感じました(社会人経験豊富な両親や先輩方にもこの点は指摘されました)。例えばB社の主な事業は、工場などで用いられる産業用機械のためのモーターや産業用機械そのものの開発・製造・販売でした。しかしそこはちょうど新規事業として医療福祉機器(リハビリ機器や歩行支援器具)を市場に出し始めたところでした。医療福祉分野に貢献できるものつくりに興味のある私は、ピンポイントにその事業に興味を持って応募しました。が、裏を返せばこれは狭き門です。他にもその会社には仕事はたーくさんあるのにも関わらず、まだ走り始めたばかりの事業にぺーぺー(ましてや医工学知識皆無)の新入社員を投入するのは会社側からすればリスキーです。また仮にそんな私を採用した後に、私がその事業に関わる仕事に就けず腐って辞めてしまっても、会社にとっては不利益です。それなら山ほどいる他に応募してきた学生から適した人を採った方がいいですよね。

正直私は就職活動中一貫して好き・嫌いがはっきりしていました。どうしても自分のやりたい事(逆にしたくない事)や理想に嘘ついたり妥協したりできなかったですし、仮に嘘ついて採用されたら自分の性格的にさっき述べたような腐ってしまう事態が想像できたからです。なので、「ある程度業種や職種を絞って、後は入ってからなるようになるでしょ」みたいなスタンスで就活してサクッと終えている人を見ると、「なるほど、そういう就活もあるんだ。でも俺には無理だ―」と内心思っていました笑 どっちが正解とかはないと思います。むしろ自分が納得いく方法ならそれが正解です。仕事探すのは結局は自分のためですから。ただ、自分みたいな嘘つけない就活を今後もしもする人はめげずに頑張ってくださいというのが私からのメッセージ(?)です。

 

3.日本独特の選考方法がダメだった笑

これはもうはっきり言って自分の好みの問題でしたねw 特にwebテストというやつ。就活生の多くがこれを血眼になって対策したり、友人と寄せ集まってノートパソコンを並べて取り組むのが一般的のようです。しかし一方で私は「こんな足きりの一環に躍起になるくらいなら、自分は研究したり授業に出たりしてもっとスキルに直結するもの蓄えたいわ」と思い、まったく対策もしませんでしたし、毎回1人でポチポチPCの画面に向かってました。おかげ様で全然解けないことも多々ありました笑 でも、これに関しても自分でそう決めて臨んだことですし、その分研究や授業を通して学んだことがたくさんあったので後悔はないです。

しかしながら日本が新卒一括採用を行っている限りこのシステムはなかなか消えることはないと思います。特に大企業において山ほど応募してくる学生の線引きを、人事の人が履歴書の内容だけ見て行うことなんてどう考えても無理です。線引きという点においては学歴も引き続き重要視されるを得ない点の1つなのかもしれません。「どうしても日本の名だたる大企業に入りたい!」という方はWebテスト対策は必須だなということ感じました。

 

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以上3点がこのような結果となった主な理由だと思い、私は再考と対策を打ちました。

その中で作成したのがこれ↓

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自分のことを「実践的個人スキル」・「チーム運営スキル」・「興味」の3項目に関して主観的に評価したシートです。レベルの高低はあくまで主観的かつ同項目並びに他項目間における相対的な評価です(もしこの自己評価に異論がある方はコメントください…)。ただこれを行ってよかった点がいくつかあります。

1. 自分の強みを(相対)評価できた

A社の対人選考の中で「君は(技術的な面で)何が1番できるの?」と聞かれたとき、私は「うーん…」と考えてしまいました。というのも、私の専攻で学んだことや研究で行ったことは手広く、例えば研究で使用する二輪走行ロボット(ロボットといえるほど高尚なものではないかもですが…)を作るとき設計、組み立て、プログラミング、実験を一貫して1人あるいは他の学生1,2名と協力して行ってきました。そういった中で、「確かにいろいろやってきたけど1番できるものって何だろう…」と考えてしまったわけです。正直自分は実践的なスキルに関してはあまり自身がない人間なのですが、しかしながらこういった形で相対的なレベルの高低を可視化する作業を通して、絶対的ではなくとも「これができる!」と少しは堂々と言えるようになったと思います。

2.自分の興味や原点を再認識することができた

また興味に関しても再考する中で、大学に入る前そして在学して間もないころに思っていた「ロボットを作りたい!」という原点に戻ることができました。さらにまた、医療・福祉以外にもロボットが活躍できそうな領域や、貢献できそうな問題はないのかというのを考えたところ、教育、少子高齢化、コミュニケーションという3つのキーワードが上位に上がってきました。しかし一方で「今までにないものを作りたい!」という強いこだわりも残りました。

 

この2点の気づきと、大敗した結果から「医療・福祉の領域に携わるには今の自分の実力は足りない」と悟った私は方向転換をしました。

 

Q1. 自分の興味、性格、実力を加味して

→昔から好きだったロボットの開発に携わるために

Q2. どの国の

→???にある

Q3. どういった業種の

→ロボット開発を主な事業としている

Q4. どの会社で

→比較的新しい会社で

Q5. どの職種を就いて

→ロボットに携われる職種なら何でもいいので(でもできれば開発や設計)

Q6. どのようなことに取り組みたいのか

→教育、少子高齢化、コミュニケーションに貢献できるようなものを作りたい

 

んー、当初よりも抽象度が上がり幅が広くなった部分もあり、会社を探す指針が再度決まったという形にはなりました。

 

そんな感じで改めて会社を探すことになったのですが、そこでもまたいくつかのジレンマに悩まされました。

 

つづく