元工業大学生のドイツ修行記

ドイツの大学に留学した元工業大学生の備忘録のようなもの

Arbeitsplatz suchen: Nr. 3

Grüß Gott!

 

7月ですねー。昨年ドイツから帰ってきたのは9月の終わりで帰国後あまり夏らしい夏を経験してなかったこともあり、久々のこの蒸し暑い気候にウンザリしながらも、どこか懐かしさを感じている管理人です。

 

さてさて、お仕事探しの話も今回で最後です。

(前回記事を読んでない方はそちらを先に)

himazin-deutschland.hatenablog.com

 

 【前回までのあらすじ】

Q1. 自分の興味、性格、実力を加味して

→昔から好きだったロボットの開発に携わるために

Q2. どの国の

→???にある

Q3. どういった業種の

→ロボット開発を主な事業としている

Q4. どの会社で

→比較的新しい会社で

Q5. どの職種を就いて

→ロボットに携われる職種なら何でもいいので(でもできれば開発や設計)

Q6. どのようなことに取り組みたいのか

→教育、少子高齢化、コミュニケーションに貢献できるようなものを作りたい

 

という方向転換をして再度会社検討です。

 

google先生に「教育 ロボット」とか、「コミュニケーション ロボット」とか聞いてみると、やはり昨今の流行ということもあり、最近製品やサービスを始めたばかりの会社がたくさん出てきました!こういった新しいことにチャレンジしている会社は自分にとって非常に魅力的でした。

 

しかーし!!!!!

前回の記事でも少し触れましたが、ベンチャー企業は往々にして即戦力を求めた求人を出しています。そもそも新卒を募集していなかったり、募集していても高い能力を求めていたり、選考方法が独特な形式の場合があり、なかなか手が出せませんでした。(例えばチェックしたあるロボットベンチャーは自身に関わるキーワード101個を1ページにまとめるという斬新なものでした……)

また昨今小学生のプログラミング必修化の流れもあり「教育×ロボット」を歌う企業も珍しくなかったのです。が、それらの多くはプログラミング教室などのサービス面の展開が多く、プロダクトの開発・製造までやっているところはあまり見つけられませんでした。私は教育サービスにも少しは興味がありましたが、やはりプロダクトを産み出す側にいたいという思いが強かったので、そういう企業は次第に候補から外れていきました。こう言ったトレンドのイメージと現実のギャップを調べる中で多少なりとも垣間見れたのは良い発見だったと思います。逆を返せば伸び代というか、まだまだ変化の余地があるという事なんですかね。

 

こんな感じで調べ調べ絞っていきましたが、とは言え求人を見ただけでは分からないことも沢山あります。

絞った中からさらに前回見直した自分の能力と興味を考慮しながら企業を選んで、企業説明を伺いに足を運んだり、履歴書を提出したりしました。

            f:id:himazindatch:20180714214524p:plain

(ちなみに私は履歴書はパソコンで作ってました。そっちの方がキレイなので。)

 

=====

一方で今一度、「海外企業の現地オフィスで働く事は出来ないか」と考えるようになりました。しかしながら、やはりその実現にはいくつかの障壁がありました。

 

海外企業の多く(と言っても私は大きな海外企業数社しか見ませんでしたが…)は日本のような新卒一括採用とか総合職採用とかをしていないのが通例です。

www.kuka.com

こちらは世界的なシェアを持つドイツの産業用ロボットメーカーKUKAの求人情報です。見ていただけるとわかるように、職種ごとに求人をしています。それぞれの求人ごとに主な仕事内容と求められる具体的な能力が書かれています。これはインターンシップでも卒業研究依頼(欧州では企業での研究で卒論・修論を執筆できることがあります)でも原則同様のようです。

 

これを見たときに私は「海外で働いてみたい!」という漠然としたモチベーションだけでは太刀打ちできないと痛感しました。日本の学生向け求人よりも具体的に仕事内容が書かれている点は仕事へのこだわりが強い私としてはとてもありがたかったですが、一方で求められている具体的な能力に応えられる自信は無かったです。

 

また欧州では一般的にインターンシップ経験の有無を正社員採用の際に見られると聞いたことがありました。インターンシップと言っても日本企業のように数日とか1,2週間程度の社会見学のようなものではなく、数ヶ月から長くて半年程度のものです。このインターンシップを経験した現地の学生たちは、正社員募集の際職歴としてこの経験を書類に記載できるそうです。

留学中、周囲の日本人留学生の中にはこういった企業インターンシップをしていた人も珍しくなかったですし、そのまま声がかかって大学院修了後現地オフィスに就職した友人もいました。私のように留学を現地大学での研究に費やすのもそれはそれで学びがたくさんありますが、もし「ファーストキャリアから絶対海外企業の現地オフィスで働きたい」と思ってる方がいれば現地でのインターンシップは必須なのかなと思います。

 

さらにもう1つの障壁は雇用のタイミングです。日本の就職一括採用のように大学を卒業・修了する1年も前に仕事を探すスタイルは(たぶん)世界的に見て稀です。さきほどのKUKAの求人もインターンシップを含め殆どがこの9月ごろからの雇用を前提としたもの(確認当時)が多い印象でした。もちろん今年の9月は私は絶賛修士論文研究しているわけですからここに申し込むことはできません。となると、来年の春からの雇用に関する求人が出るまで待たざるを得ません。

そのような中で、職歴として書けるインターンシップ経験もない私がそこまで待ってまで海外企業就職に挑むのは、時間の使い方や自身の実力を考慮した時に賢明でないなと感じました。

 

「留学してた時みたいに海外に出て揉まれるのもいいが、技術者として生きる上では今である必要はないな。」と割り切った私は国内企業での就職に専念することにしました。

 

=====

そんなこんなでなんとか粘り強く就活を続けて、最終的に産業用ロボットを手がける近年独立した企業にお世話になることとなりました。

「え、産業用ロボットは教育・少子高齢化・コミュニケーションに関係ないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんがそこには私なりの考えがあります。

簡単に言うと、

少子高齢化で人手足りない

1人当たりの労働時間増えてやばい

そこにロボット投入

人間の仕事負荷低減

社員同士や家族とコミュニケーション取れる時間が増える

というロジックです(まぁ、働き方そのものとか日本人にとっての労働への価値観が変化しないと難しいとは思いますが……)

もちろんこういった社会的観点だけでなく、開発・製造している製品自体も同業他社の物とは違ったものであったところにも惹かれ、一ロボット好き人間として「面白い!」と思ったのも、選考を受けさせていただいた理由でもあります。

 

ちなみにコミュニケーションロボットを手がける企業や災害救助ロボットをはじめとする様々なサービスロボットを手がける企業(どちらも設立して20年経ってない企業)にも話を伺いにいったりもしました。

その辺の具体的なことは話すと長くなるので割愛しますが。ただ、いわゆる一般的な理系大学生の就活(大学からの推薦とか、大企業メーカー就職とか)とは異なる就職をしてみて、私がお世話になる企業も含め、今はまだ目立たないけど新しい流れを起こそうと奮起している人たちがたくさんいるんだなということに気づけました。所詮まだ学生気分の私がこういうことを言うのも軽々しいですが、やはり常にそういった熱量のある所に身を置き続けたいものですね。

そういった学びがあったという点においても、この就職活動の中でお会いした様々な企業の皆様に感謝を申し上げたいです。

 

=====

さて、最後に(たかだが1年だけですが)留学した日本人大学生の私が就活をしてみての思ったことをまとめます。

  • 留学したという事実を就活に活かしたいのなら、そういう就活の場に行った方がいいかもしれません(ボストンキャリアフォーラムとかそういうの)
  • 海外現地支社に直接アプライしたいなら現地でインターンシップを経験しましょう
  • 日本で就活をしてサクッと終わらせたい人は推薦とか使うといいと思います
  • そうでない人は大企業にこだわらず色々話を聞きに行くのも発見があると思います

そして何より、

  • 自分がしたいこと、自分ができることを天秤にかけて自分をアピールできるようにしましょう

以上3回にわたる長い内容でしたが、1年間留学した日本人理系学生による仕事探しのモデルケースをご紹介しました。

これから留学する方や就職活動を迎えようとしている方にとって、何かしら足しになれば幸いです。

 

ではまたぁ。

Tschüss !